平成28年度予算議会における討論

会派を代表して討論を行いました!

平成28年3月25日、田中しんすけは会派を代表して、今議会に上程された平成28年度一般会計、特別会計、企業会計の予算案、条例案等に対して討論に臨み、その中でも特に以下の4点について今後の市政運営に対する意見・要望を行ないました。

(1)今後の自治体経営の在り方について

 二期目に入った高島市長は、昨年、天神一帯の高さ規制や容積率の緩和により大型開発を促す「天神ビッグバン構想」を打ち出しました。今年は、「ウォーターフロント地区再整備構想」という、大型クルーズ船が二隻同時に着岸できる岸壁整備、大規模な国際会議やイベントの誘致が可能な施設を新たに整備するなど、博多港一帯の大規模整備事業を打ち出しました。
 アジアの拠点都市を目指す「圧倒的福岡時代」という大層な掛け声ですが、その事業費を市民や議会に明らかにしてもらわなければ、市民は正確な評価もできません。私たち会派は機会あるごとに、大規模事業に係る事業費や見込み額を質してきましたが、なかなかその数字が示されることはありませんでした。これらの事業については、今後も大きな関心を持って議論に臨む所存です。早期に全体事業費を示すとともに、事業進捗に応じて、早め早めの情報提供を心掛けて頂くよう、強く要望しました。
 また、本市の姿勢を見る限り、都市の成長の源泉となる大規模事業に執着するあまり、生産年齢人口が確実に減少していくという「超・少子高齢社会」に対応できる地域社会・コミュニティの支援がおろそかになってきているように感じます。次代を担う人材育成システムを構築して、福岡が持つ固有の資源を活用した「人と資源が整うまち・福岡」という、身の丈に合う自治体経営を目指すべきであると、改めて意見を表明しました。

(2)市営地下鉄「企画乗車券の見直し」について

 現行の企画乗車券「ちかまるきっぷ」と「エコちかきっぷ」の販売を終了し、「ファミリーきっぷ」を新設するとともに、65歳以上を対象とした全線定期券として「ちかパス65」を新設するというのが本市の提案でした。
 しかし、「ファミリーきっぷ」について、家族構成によっては現在と比較して約1.5倍の金額になる上に、利用の際には切符を役務員が確認する必要があります。利用者の利便性も下がり、役務員の負担も増えるような状況が想定されるため、その運用については実施時期である平成28年秋までにしっかりと検討されることを強く求めました。
 さらに、「ちかパス65」について、その導入趣旨は認めるところではありますが、価格設定については、学生定期の料金を考えるとバランスに欠けるのではないかと思います。今後、学生の定期料金の減額に向けて検討されるよう併せて要望しました。

(3)子ども医療費助成の変更について

 子どもの通院医療費の助成範囲が小学6年生まで拡大されることは一歩前進です。また、医療費助成に際して一部個人負担をお願いするという制度設計についてですが、現在の本市の財政状況や県の補助割合を鑑みると、それもやむなしと考えるところから、修正案に反対し、原案に賛成するものであります。今回の制度変更により、これまで負担のなかった3歳~6歳の子どもに個人負担が新たに発生することについては、今後、助成額の見直しを検討する際には優先的に対応されるよう要望しました。
 また、今回の負担のあり様を考えると、1医療取扱機関の支払い(1レセプト)に対して発生するという仕組みになっています。このような仕組みを前提にすれば、地域の内科や外科、眼科といった単一診療科の病院や診療所よりも、総合病院のような複数の診療科を備えている病院を受診した方が負担の軽減につながることとなり、大病院への通院が助長されるのではないかと大変危惧するところであります。本条例は10月から施行されるということですが、上記のようなケースを発生させないような取り組みと併せて、低所得者へ配慮する観点から、たとえば、年間を通しての負担上限額を設定するなど、負担の方法について改めて検討されるよう要望しました。

(4)福岡市動植物園「入園料の値上げ」について

 本条例案は、福岡市動植物園の入園料を400円から600円に改定するという内容ですが、中学生以下の子どもに対する無料施策の継続と、動植物のよりよい飼育のための費用として増額するとのことでした。消費税アップの中これまで入園料を据え置いてきた努力については理解するものであり、増額改定についてはやむなしと判断するところです。
 一方で、他都市の動物園の入園料の増額の際には、入園者数が減少したとの説明がありました。今後実施する予定の「動植物園の魅力アップ・賑わいアップ事業」をしっかりと進め、来訪者に感動を与え、むしろ入園者が増加するように改善を図られるよう要望しました。