福岡市の「政治の仕組み」教室

Q1.
福岡市の政治の仕組みについて簡単に教えてください。

全国の自治体は「二元代表制」という仕組みをとっています。市長を筆頭とした市役所を「行政」と呼び、この行政の長である市長(首長)は選挙で選ばれます。
この「行政」の活動を監視し、また、市民の意見を代弁して様々な決まりを作る機関として「議会」が存在します。「議会」を構成する市議会議員(地方議員)も四年に一回の選挙で選ばれ、議長を筆頭に「議会」という組織全体でいろいろな活動をしています。このように、「行政」と「議会」が相互に干渉しあいながら、良いまちづくりを目指していくというのが、地方、福岡をはじめとする全国の自治体の仕組みです。

一方で国は、「議院内閣制」という仕組みです。国会議員(国会)のなかから総理大臣を始め国務大臣(内閣)を選ぶわけですが、その国会議員は4年に1回実施される衆議院選挙で選ばれます。国民民主党とか自民党とか公明党とか政党がありますよね。その政党ごとにグループを作る。そうしたときに、一番大きな政党を中心に内閣が組織されるわけです。
国会議員を中心とする国会というのは、立法府と呼びます。国会は立法府、内閣が行政を担う。そこの内閣というのが、国会でえらばれた人たちから総理大臣を選んで、その総理大臣が大臣を任命して組織する。と言うことで、国と地方でそもそもの政治のあり方が違うという事実があります。

Q2.
福岡市民が福岡市に対して意見や要望を伝えたいときは、まずどうしたらいいの?

一番最初は、基本的に市役所に行くことを考えると思います。しかし、市役所ってかなり組織が膨大で、問題によって、例えば子育ての問題だったり、あとはマンションの建設の話があったり、あとは例えば、老人福祉、介護の相談とかいろいろありますよね。
そして、そんな色々ある中で、どこに電話をしたらいいのか分からない状態になる。市役所でいうと、一万人くらいいるわけで。市役所は市長がトップにいて局というのがある。局が14~15くらいあって、それの下にさらに部があって課があって係があって…連絡先がかなり膨大で、その中でピンポイントで連絡できる市民はそうは多くないと思います。

Q3.
どこに連絡したらいいか分からないようなときは、どうしたらいいの?

そこで、私たち市議会議員がその代わりに「よろず屋さん」みたいになって、例えば、うちの事務所にこういうことで悩んでいるとか、困っているとかあればそれを受けて、担当局を調べて、そこの窓口を紹介するということをやっています。それが結果的に一番早いのではないかと。それが、議員の「便利な使いかた」ですかね。しかし、これは本業というわけではなく、あくまでも議員としてのほんの一部の仕事ですが。

Q4.
市議会議員の、議会における具体的な仕事はなんですか?

基本的には議会に集まって議論することです。二元代表制の話に戻りますが、行政があって、議会がある。福岡市議会においては、定例会というのが年に4回開催されます。そこに市長は、何か物事の仕組みを新しく作ったり、予算を組んだりするわけですが、そのときには必ず「議会の議決(承認)」が必要になるんです。行政は予算を作ったり、仕組みを作ったりする機能を持っていて、それを議会に提案して、議会で議論して、それで、〇か×かという話をするわけです。

「じゃあ、議会は行政から出てきたものをチェックするだけか?」
というとそれだけではなくて、ルール作りや仕組み作り(条例)だとかいうのは、議会が独自で提案してもいいわけです。
例えば、福岡市議会では平成23年に地域でのコミュニティバス運営を支援するための『生活交通条例』、平成25年には『空き家対策条例』、平成26年には地元産の農林水産物の消費を拡大するための『ふくおかさん家のうまかもん条例』、そして、平成30年には宿泊税の創設を規定した『観光振興条例』を、それぞれ議員提案条例として成立させました。
このように、市民生活の向上には必要だけれども、行政がなかなか発想できない条例(ルール)を議会主導で提案・成立させています。