議会通信アーカイブ
平成29年12月議会・一般質問
2017年12月25日
○学校施設の木造化・木質化の推進について
~木材を使った『新たな体育館づくり』を提案!~
○民泊の現状および住宅宿泊事業法について
~『安心安全な民泊』に向けて、福岡市の主体的な取り組みを要望!~
学校施設の木造化・木質化の推進について
福岡市の森林・林業・林産業を支える「出口戦略」の構築を!
~木材を使った『新たな体育館づくり』を提案!~
森を守るために、木材を「使う」
福岡市は、市域面積のおよそ1/3を森林が占めるという、大都市の中では珍しい「森林都市」ですが、その管理はなかなか行き届いていないのが現状です。
森を守っていくためには、木を「植える」「育てる」「使う」というサイクルをしっかりと循環させることが必要。そのためには「木材を使う」ことが本市にとって重要であることから、今後の木材使用量の拡大に向けた具体的な提案を行ないました。
学校体育館の木造化を実現するために
~まずは木材利用ガイドラインの策定を!~
今回の質問では、木材使用の方法として、市民からも要望の多い「学校施設」への更なる活用を主張。とりわけ、本市で狭隘化が深刻な問題となっている学校体育館の再整備にあたっては、他都市で先行している木造体育館の事例を研究し、本市でも整備の可能性を検討するよう要望しました。
また、「まずは、横浜市が策定しているような木材使用に関する詳細なガイドラインを、他の関連部局と連携しながら整備すべき」と指摘。農林水産局からは前向きな答弁を得ました。
【コラム】公共施設への木材利用拡大に向けて
今年度新たに策定された『福岡市農林業総合計画」の中では、市の公共施設整備における木材使用量の目標値を、平成29年度から33年度までの合計で12,500㎥と定めています。
しかし、本市の木材使用量の推移と今後の計画について見てみると、これまでは年間平均の使用量が1,097㎥だったものを、およそ2.5倍の年間2,500㎥にまで拡大するという内容です。実際にこれだけの木材使用を実現するためには、消費拡大という「出口戦略」についても今から検討しておかなければならないことが分かります。
田中しんすけは、市民からの要望も多い「学校施設への木材利用」をさらに推し進めるために、引き続き地域産材を中心とした木材の活用を訴えていきます。
民泊の現状および住宅宿泊事業法について
『安全安心な民泊』環境づくりに向けて!
~福岡市の積極的な取り組みを要望しました!~
違法民泊が横行する福岡市
民間の運営する民泊集計ホームページによると、市内の施設数は2,108件(平成29年12月現在)。福岡県内の民泊施設の約94%が福岡市に集中している状況です。
一方で、旅館業法による許可を受けている施設は143件しかなく、市内の民泊については、ほとんどが無許可営業であり、そのおかげで市民による苦情や相談が激増している現状が明らかになりました。これは、全国的にも大都市部にも同じようにみられる傾向です。
民泊新法が国会で成立
このような現状を受けて、平成29年6月に「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)」が国会で成立しました。
これまで法律で規制することが出来なかった民泊施設仲介業者を登録制として国の監督下に置くとともに、宿泊事業者には監督官庁(現時点では都道府県)への届け出を義務付けるという内容です。
この法律が施行されることにより、届出を行なっていない宿泊事業者は、民泊施設仲介事業者のホームページに物件を掲載できないようになります。
民泊新法は事実上の「規制緩和」
平成30年6月に施行されるこの民泊新法は、昨今の外国人観光客の増加や宿泊ニーズの多様化に対応するために、これまでの旅館業法では認めていなかった(=要件を満たしていなかった)戸建てや集合住宅の一室を、宿泊施設として提供できるようになります。
また、この新法の下では、従来の旅館業法では禁止されていた「住居専用地域での民泊施設の提供」も解禁されることになります。
福岡市に求められる対応
民泊新法は、宿泊サービスを提供する宿泊事業者を法の枠内で監督し、無許可事業者に対しては厳罰をもって処する、というものです。しかし、そのためには、登録事業者への監督、違法営業者に対する摘発・指導のための実効性ある仕組みづくりや組織体制の構築が不可欠です。
この法律では、具体的な事務を担う自治体は都道府県が想定されていますが、「政令市がその事務を担うこともできる」とも規定されています。また、条例を制定することも可能で、その中で宿泊施設の営業日数や営業エリアを定めることが出来ます。
今回の議会質問では、「県内のほとんどの民泊施設が集中する福岡市が、民泊に関する規定づくりや事務を県に任せて大丈夫なのか?」
「住宅宿泊事業法の下では、住居専用地域での営業が原則許可されることになる。実態として既にそのような現状があるとしても、それを追認するような形で大丈夫なのか?」
と指摘。
住宅宿泊事業法の施行に伴う制度設計については、十分に市民の声を聞いたうえで、福岡市が主体的に関わっていくよう強く要望しました。
平成29年6月議会・一般質問
2017年06月21日
○狭隘化した小中学校体育館の問題について
~教育環境の格差解消につながる取り組みを要望しました!~
○外国語教育の充実について
~ICTを活用した英語教育の更なる充実に向けて提案!~
狭隘化した小中学校体育館の問題について
狭隘化が著しい小中学校体育館の対策を急げ‼
~教育環境の格差解消につながる取り組みを政策提案!~
建設時期によって異なる「体育館の広さ」
~小中学校体育館の現状~
本市の市立小学校144校、中学校69校にそれぞれ設置されている体育館ですが、昭和60年に文部省(当時)の建設補助基準が変更されたことを契機に、それ以降に建設された体育館(新基準)と、それ以前に建設された体育館(旧基準)では、アリーナ面積が最大で260㎡もの差があることを明らかにしました。それに加えて、児童生徒の増加が著しい学校もあり、「学校によってはアリーナ面積が非常に狭く、学校行事やクラブ活動に支障をきたしている」実態があることを問題視しました。
旧基準 | 新基準 | |
小学校 | 495㎡ ~ 580㎡ (18m×27.5m)(20m×29m) |
696㎡ (24m×29m) |
中学校 | 570㎡ ~ 643㎡ (19m×30m)(20m×32m) |
832㎡ (26m×32m) |
急がれる「大規模校対策」と体育館の改築・改修
~まずは実施計画の策定に着手すべし!~
学校体育館については、基本的には「建設60年後に改築(建て替え)、30年経過した時点で大規模改修を実施する」という方針ですが、実際に調べてみると、耐震対策や過大規模校対策のために60年を経たずに体育館を改築している小中学校も多く存在します。
今回の質問で取り上げた狭隘度の高い小学校体育館は、そのほとんどが大規模校として位置づけられており、かつ、旧基準で整備されたもの。本市の学校規模適正化対策と併せて早急に改築を進めるべきだと指摘しました。また、中学校体育館は、現時点では大規模校としては指定されていないものの、今後の生徒数の増加を見込めば、大規模校となることが目に見えている学校もあります。大規模校に対する改善計画を策定する際には、今後の生徒数の増加についても考慮すべきであり、その上で体育館の改築についても「大規模校に準じる学校群」として位置づけて優先的に対応するよう要望しました。
外国語教育の更なる充実について
外国語教育の早期化に備えて!
ICTを活用した英語教育の更なる充実を要望しました‼
本市でも進む「小中連携」の英語教育
今年度新たに告示された学習指導要領によれば、外国語教育については、小学5年生から英語を教科化、「聞く・話す」中心の外国語活動の開始を小学3年生からに前倒しする方針が示されました。平成32年度の全面実施時には、小学校中学年(3・4年)で「外国語活動」をそれぞれ年間35時間、高学年(5・6年)で「外国語科」をそれぞれ年間70時間導入することが明示されています。
今回の質問では、英語教育で先行している愛宕浜小学校と姪浜中学校(いずれも西区)の授業風景を事前に視察。この事例を紹介しながら「小中連携の成果を全市に波及させていくべき」と議会で指摘しました。
小学校における英語授業の様子(愛宕浜小学校)
他都市の取り組みを参考に「オンライン英会話」の導入を!
小中学校における英語教育の肝は、授業に参加する全ての児童生徒に対して「英語を聞く・話す」という機会をどれだけ与えられるかということに尽きると考えます。そのような先進事例として、飯塚市と佐賀県武雄市の小学校で既に実施されている「オンライン英会話」を取り上げました。
タブレット端末を利用したオンライン英会話の様子(武雄市)
タブレット端末やパソコンを活用したオンライン英会話の導入は、「英語を聞く・話す」という機会拡大のためにも重要なこと。幸い、本市の小中学校には、パソコンルームも既に整備されています。これまでの本市の取り組みをさらに良いものにするためにも、ICT導入・活用といった英語学習環境の更なる向上を図るべきと訴えました。